バイオリンの弓の素材へのこだわりポイント5選!毛だけでなくスティックも徹底調査

バイオリンを上達させたいのであれば、バイオリン本体はもちろん弓選びもとても重要です。使用されている素材、重さやサイズ感など、自分に合った弓で演奏するとパフォーマンスの向上にも繋がります。

今回は、これからバイオリン弓を購入する方に向けてこだわりのポイントや、弓のパーツなど知っておくと役立つ情報を紹介します。

こだわりポイント①弓毛

バイオリンの弓毛は、馬の尻尾の毛で作られることが一般的で、弓1本につき約150〜200本使用されています。ここからは、バイオリンの弓毛として使用される馬の毛を国別に紹介します。

カナダ産の馬毛

カナダ産の馬毛は、サラサラとしており引っ掛かりがとても良いのが特徴です。また、少ない量でも良質で大きな音を出せるので表現の幅も広がります。

しかし、繊細で柔らかい音を出すのは少し難しい可能性があります。他の国の馬毛よりも太く、丈夫であるため、耐久性も抜群で長持ちしやすいといわれています。

モンゴル産の馬毛

モンゴル産の馬毛は、小さく細かい毛質であり、絶妙な引っ掛かりで音の強弱や繊細な音の表現がしやすいのが特徴です。モンゴルで育つ馬は他の国の馬と比較しても一回りほど大きく、細かい毛質でありながら耐久性にも問題はありません。

モンゴル産の馬毛が使用された弓はリーズナブルで、子供のバイオリン教室でもよく使われています。

 

イタリア産の馬毛

イタリア産の馬毛は、品質の高い毛質を作り上げるため馬の飼育からこだわっています。栄養価の高い餌やストレスフリーな環境によって育てられた馬の品質の良い毛質を使用。

栄養分の高い毛が持つキューティクルは大きく、弾力性に長けているのが特徴です。滑らかで弦との相性も良く、多くのプロのバイオリニストが愛用しています。

シベリア産の馬毛

シベリア産の馬毛は毛質が細かく、高品質であるのが特徴です。

滑らかでシルキーな手触りなのにも関わらず、引っ掛かりが良くしっかりとした音を発せられることから、プロのバイオリニストからも人気の素材です。

毛質が細いので大きな音を出すのは少し難しいですが、丁寧に音を掴み、繊細な音を奏でることができます。特に室内での演奏スタイルの演奏者から人気の種類です。 

こだわりポイント②スティック(棹)

バイオリンのスティックは、主に木で作られており使われている木の種類がそれぞれ異なります。スティックの素材には、「フェルナンブコ」、「ブラジルウッド」を使用するのが一般的です。ここからは「カーボン」という素材もあわせて、バイオリンのスティック部分に使用される3つの素材について解説します。

フェルナンブコ材

フェルナンブコは、バイオリンのスティックで使用される木の素材の中で最も高級とされています。材が非常に硬く、耐久性にも優れているのが特徴です。

現在フェルナンコブは減少傾向にあり、希少価値の高い素材として価格も上昇しています。高品質で湿度や温度変化にも強いので、管理がしやすいのも魅力の一つです。

ブラジルウッド材

ブラジルウッドは、リーズナブルでお手軽に手に入れることができるので初心者にもおすすめの素材です。ブラジルウッドは、もともとフェルナンブコの代替えとして製作されたため、見分けがつかないほど見た目はフェルナンブコに似ています。

品質や音質はもちろんフェルナンブコには劣りますが、初心者が練習するには十分な素材といえます。

カーボン製

カーボン製のバイオリン弓は、カーボンファイバーを使用しています。カーボンは軽くて耐久性にも優れているのが特徴です。木でできたスティックは、どれだけ高価なものでも長い期間演奏し続けると、必ず変形してしまいます。

しかし、カーボン製のスティックは、中心部分にカーボンが芯として入っているので、比べ物にならないほど強い造りになっています。

音の表現や、木で奏でられる温かみはありませんが、長時間の練習をしたい方にはぴったりの素材でしょう。

こだわりポイント③ラッピング

バイオリン弓のついているラッピングという部分は、ぶつけやすい先端を保護する役割を持っています。ラッピングは、さまざまな色や素材の中から選ぶことができ、着せ替えのように雰囲気を変えて楽しめます。金色や銀色、刺繍も入れられます。

こだわりポイント④フロッグ

バイオリン弓のフロッグは手元の部分に付いており、弓の張り具合を調節するスライド機能としての役割を果たしています。日本語では「毛箱」といわれています。

ここでは、フロッグの素材として使われる2種類の素材について紹介します。

エボニー

エボニー(黒檀)材は硬くて摩耗しにくいため、耐久性の良さが最大の魅力。最も一般的でよく選ばれる素材です。

鼈(べっこう)や象牙

使い込むほどに味が出る素材ではあるものの、鼈甲や象牙の素材は使えば使うほどに色や表面の質感が変わっていくのが特徴。扱いやすさではエボニーの方が断然優れています。

こだわりポイント⑤チップ

バイオリン弓のチップという部分は、弓の先端についており、弓の先を保護するという役割があります。

くさびで弓の毛を止めており、毛を差し込むくさび穴の強度も高めます。

ここでは、チップに使用される主な4つの素材を種類別に紹介します。

牛骨

硬くて耐久性に優れているのが、牛骨の特徴です。衝撃を受けすぎるとかけてしまうこともありますが、丈夫で長持ちするためチップの材料としては、非常に適しています。滑らかで美しい見た目を好む人も多くいるようです。

象牙

牛骨の硬さには劣りますが、丈夫で長く使える材質です。現在では、ワシントン条約によって輸入が難しく、手に入れることが難しくなっているため価格も上がっています。

磨くと美しい見た目から、高級な弓に使用されることが多くなっています。

プラスチック

材質が柔らかく、手頃な価格で手に入れられるのがプラスチックチップの特徴です。

他の材質とは比べ物にならないくらい柔らかく、弓の保護やくさび穴の変形を防ぐなどの役割には適していません。

しかし、価格が安いことで練習用や子供用のバイオリンに使われることが多いです。

金属

金属のチップは、現在入手困難である象牙の代わりに使用されることが多い材質です。硬く丈夫な素材であり、手頃な価格で手に入れることが可能であるため、多くの人が愛用しています。

まとめ

今回は、これからバイオリンを始める初心者の方に向けて本体だけでなく、同じくらいこだわってほしい弓のパーツや素材について解説しました。

「バイオリン本体がよければ良い音色が出るだろう」と勘違いしてしまう人は多くいるでしょう。

弓は弦と1番よく触れる部分であり、奏でられる音色は毛の質や素材で大きく異なります。

ぜひ、これからバイオリン弓の購入をお考えの方は、この記事を参考に、ご自身の用途に合った弓選びをしてみてください。

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