バイオリン弦の交換方法を解説!失敗すると音色が悪くなる?

ほとんどのバイオリンには、木や馬のしっぽなど自然のものが使われています。

そのため、定期的なメンテナンスを行わなければ音が悪くなってきたり、弦が錆びてしまったりして、バイオリンを長持ちさせることが難しくなります。

しかし、いざ「弦の交換をしよう」となったとき、正しい弦の交換方法を知らなければ、どうすれば良いのかわからず戸惑ってしまうでしょう。今回は、これから初めてバイオリン弦を交換する人に向けて、弦の基本的な交換方法を徹底解説します。

何度か変えたことがある方もぜひ、おさらい程度に見てみてください。

バイオリン弦の交換は自分でもできる

バイオリンの弦の交換は、一見自分ではできないことのように思えるかもしれません。しかし、初心者でも正しい方法を理解することで、弦の交換を自分で行うことは可能です。

しかし、曖昧な知識のまま弦を交換してしまうと、バイオリンの音色にも影響してしまう上に、バイオリン自体を痛めてしまいかねません。

大切なのは、正しい知識を身につけてから作業を開始すること。また、バイオリン教室へ通うことを検討されている方なら、教室で講師にアドバイスをもらうのもおすすめです。

バイオリン弦の交換手順

ここからは、実際にバイオリン弦の交換方法やポイントを、大きく5つの手順に分けて解説します。

①交換する弦を準備する

まずは、バイオリンに付ける弦を用意します。バイオリンには、主に3種類の素材の弦があり、そのどれもが性能や音の響き方が異なります。

そのため、練習用やコンクール、他の楽器との合奏など、それぞれの用途に合わせて弦の種類を選ぶことがポイントです。

②ペグを緩める

次に、ペグを緩めて古い弦を取る作業にうつります。この際、必ず一本ずつ外すようにしましょう。一度に全ての弦を外してしまうと、駒や魂柱が壊れてしまう恐れがあります。

少しずつ弦を緩め、たるんできたらペグをもう一度回し、弦を引きながら外します。

ペグは温度や湿度の変化で動きが悪くなってしまうため、スムーズに動くように、ペグを外したあとはコンポジションを塗っておくことをおすすめします。

③弦を巻く

弦をペグ穴から5mm〜1cmくらい出し、最初はペグボックス側に一周させます。一周巻き終えたら、反対側・ペグボックスの先端側に一周します。

そして、ペグボックス側に戻り、さっき巻いた部分と交差させていきます。交差させることで、弦に張力がかかっても抜けにくくなります。

 

④ボールをはめる

巻いた部分が安定してきたら、ボールがテールピースにしっかりはまっているかチェックしましょう。巻いている途中に外れてしまうケースもあるので要注意です。

はまっているのを確認できたら、ひたすら残りの弦をピンと張り詰めるまで巻き続けます。弦を引っ張りながら、ペグを回すことがポイントです。

⑤チューニング

全て完了したら、最後にチューニングをして終了です。弦の張り替え後は、音がかなりずれてしまっていることが多いため、指で弾きながら音の調整を繰り返します。

最終的には弓で弾きながら、正確な音程が出せているかチェックしましょう。

バイオリン弦の交換に失敗するとどうなる?

バイオリン弦の交換を行う際に、何らかの原因で失敗してしまうこともあるかもしれません。バイオリン弦は、張り方に失敗してしまうと、音程が安定せず正しい音が出るまでかなり時間がかかります。

また、大事なステージ直前での弦の交換は避けるように注意しましょう。弦を交換した直後は、弦が馴染んでおらず演奏中に何度もピッチが下がってしまう事態になりかねません。

弦が切れた際は、切れた一本だけを交換するのではなく、4本同時に全て交換することもポイントです。

もし、弦の交換に失敗して自分ではどうすることもできない場合は、無理をせずに弦楽器専門の楽器店に相談し、修理してもらいましょう。

バイオリン弦を交換するタイミングは?

「バイオリン弦を交換するタイミングは弦が切れたとき!」と誤解している人は多くいます。実はバイオリンの弦はとても繊細であり、目には見えなくても傷んでいたり、黄ばんでしまったりしています。

そのため、理想は3ヶ月〜6ヶ月の間に一度は交換することをおすすめします。プロの人であれば、約1ヶ月間隔が平均であり、あまり使わない人でも最低1年に一回は行うようにしましょう。

バイオリンの弦の種類

バイオリン弦の主な種類は、「スチール弦」、「ナイロン弦」、「ガット弦」の3種類です。種類によって使用されている素材や音色、用途も異なります。ここからは、バイオリンで主に使用されている代表的な3つの弦を紹介します。

ナイロン弦

ナイロン弦は、優しく柔らかな音色が特徴です。その名の通りナイロンでできている弦で、弾き心地の良い弦として知られています。

ナイロン弦は、実際はナイロン意外に合成繊維も使用されており強く、耐久性にも優れています。

また、ナイロン弦の音色の柔らかさは、ガット弦の奏でる自然ならではの柔らかい音色を目指して作られています。

ガット弦よりも、手頃な価格で手に入れることができ、質もよく手入れも楽なので初心者にも一番人気の弦です。

ガット弦

ガット弦は主に、羊の腸の中から強い繊維部分を乾燥させたもので作られています。天然素材ならではの、柔らかくしなやかな音色を奏でます。

しかし、動物の身体の一部から作られているということもあり、湿度や温度の変化には弱く保管場所に注意しなければならないのと、定期的なメンテナンスは欠かせません。

維持が難しい弦ではありますが、ガット弦は多くのプロのバイオリニストに愛されるほど、聴く人を圧倒させる、一際美しい音色を奏でる弦です。

手入れが簡単ではないので、上級者や中級者の方におすすめです。

スチール弦

スチール弦には、金属の丈夫な線が使用されており、耐久性や安定性に特化しているのが特徴です。他の弦と比べても硬い弦なので、柔らかい音色というより、「力強く大きな音」を出します。

スチール弦は、壊れにくく丈夫で、チューニングも簡単にできるため、中高生のオーケストラやコンクール、子供用のバイオリンにもよく用いられます。

少し機械的な音になりますが、初心者が練習するには十分です。クリアでハキハキとした曲にはスチール弦がぴったりです。

予備の弦をストックしておくのがおすすめ!

バイオリンの弦は消耗品であり、頻繁に新しい弦と交換するのが理想です。

練習中、思いがけないタイミングでバイオリンの弦が切れてしまうこともあります。一度切れてしまった弦は、もう二度と使用することはできません。

そのため、いつ何が起こってもすぐに交換できるよう、予備の弦を常に常備しておきましょう。

まとめ

今回は、これからバイオリン弦の交換を初めて行う方に向けて、交換の手順やポイントを紹介しました。

バイオリンの弦は、たくさん演奏することで少しずつ劣化していくため、定期的な交換は欠かせません。しかし、うまく交換できないと正しく音が出なかったり、バイオリン本体が壊れてしまう可能性もあります。そのため、正しい方法での交換が重要です。

ぜひこれからバイオリン弦の交換を行う方は、使用しているバイオリンの弦の特徴を踏まえた上で交換のタイミングを見直してみてください。

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