基礎を学び、ある程度バイオリンが弾けるようになってきた中級者にとって重要なのが、上級者になるための曲選びです。
「どのようなスキルを取得すれば上級者に近づくことができるの?」と、疑問に思う方も少なくはありません。
今回は、バイオリン中級者が上級者になるために役立つ、おすすめの練習曲5選を紹介します。
バイオリン中級者向けのおすすめ曲5選

ここからは早速、バイオリン中級者に向けて、上級者へのステップアップに役立つおすすめの5曲を紹介します。
これまでに耳にしたことのある名曲も含まれているため、演奏してみたかった憧れの曲がきっと見つかります。
ガボット
ゴセック作曲のガボットは、フランス発祥の舞曲で宮廷舞踊として使用されていた名曲です。
スタッカートや素早い音程が特徴で、軽やかな曲調でありながら優雅さと気品のある一曲。
ガボットは、とにかくスタッカートが多い楽曲のため、タッチミスが目立ってしまう可能性はありますが、そこまで難易度の高い曲ではありません。
複雑な表現や弾き方は含まれておらず、バイオリン初心者から中級者の方にとって、一音ずつ丁寧に音を捉える練習となることでしょう。
愛のあいさつ
愛のあいさつは、作曲家であるエルガーが愛する婚約者のために作曲した名曲で、誰もが一度は耳にしたことのあるほど知名度の高い曲です。
ピアノ演奏としても多く演奏されており、優美で情熱的な雰囲気が魅力の作品です。
リラックスした曲調と繊細な表現で、ポジショニングが複雑な箇所もありますが、豊かな表現力と幅広いポジション移動の練習になるでしょう。
テンポがゆっくりな曲調であるため、安定しやすく全体的に弾きやすい一曲です。
情熱大陸
葉加瀬太郎の代表曲である情熱大陸は、力強く迫力のある印象の有名曲の一つ。
ラテン系で早い曲調のため難易度が高いと思う方も多くいますが、実際はポジショニングに慣れればそこまで難しくありません。
どちらかというと、ポジションの移動よりも、早くて機敏な動きをする右手の方が難しいと言われています。
リズミカルでビブラートの効いた曲調と、強くはっきりとした発音がアクセントになる曲なので、幅広い表現力と力強い演奏力を身につけたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。
リベルタンゴ
リベルタンゴは、アルゼンチンのバンドネオン奏者であるピアソラが作曲した名曲の一つです。
リベルタンゴには、曲の中にさまざまな奏法が用いられており、バイオリンならではの豊かな表現力を引き出すことができます。
ピアノと演奏するのが一般的ですが、ピアノのパートでもバイオリンが伴奏の域に留まることなく、独特で魅力的な一曲です。
スリリングで情熱的な表現の変化を楽しむことができ、ダイナミックな表現力が身に付くため、上級者に向けての大きな一歩を踏み出せるでしょう。
カルメン幻想曲
サラサーテ作曲のカルメン幻想曲は、バイオリン演奏者であれば誰もが憧れる名曲です。
幅広い奏法と難しい表現力が必要なため、上級者よりの中級者におすすめの一曲。
超絶技法が必要不可欠な難易度の高いカルメン幻想曲は、プロのバイオリニストでもノーミスで弾き切るのは難しいと言われています。
演奏している中で、次々にバイオリンの難しい表現や発音が出てきますが、必ず今よりスキルは向上します。ぜひチャレンジしてみてください。
レベルが上がると直面する難関ポイント

レベルが上がるにつれて、演奏において難しいと感じるポイントが増えてくるはずです。
ここからは、バイオリンに慣れてきた中級者が直面する、3つの難関ポイントについて紹介します。
音程が取りづらくなる
演奏する曲の難易度が上がれば上がるほど、表現力や発音などに気を取られて音程を取るのが難しくなるケースがあります。
音程が合っていないと、表現や発音が綺麗に取れていても曲全体は美しい仕上がりになりません。
正しく音程を取るためには、とにかく「よく聴く」ことが大切です。
自分の演奏を録音して、音程の取れていないところを何度も繰り返し弾いてみるなど、工夫して音程を取る練習をしてみてください。
ビブラートに苦戦する
バイオリン演奏の中でも、難しい表現の一つであるビブラート。初心者から中級者にかけてビブラートにつまずく方は多くいるでしょう。
バイオリンの演奏をかっこよく美しく表現するために、ビブラートは必要不可欠であり、避けては通れない道です。
ビブラートがうまくできない方は、力が入りすぎているのがほとんどの原因です。
「ここからビブラート!」と、力強くビブラートを入れるのではなく、少しずつゆっくり入れていくのがポイントです。
また、ビブラートを入れる前後のポジショニングも重要なので、まずはテンポを落として練習してみてください。
指がついていかない
難易度が上がってくると、ポジショニング移動が激しくなることが多く、指がついていかないという難点に直面する方が多くいます。
テンポの早い曲ならなおさら、遠くのポジションまで移動するのに間に合わないこともあるでしょう。
楽器の演奏で大切なのは、次の音の予測をしておくことです。
また、苦手なパートは何度も止まって繰り返し弾き続けることが大切です。慣れてきたらスピードを上げてみましょう。
オクターブを超えるポジショニング移動に慣れてくると、演奏できる曲も大幅に増えるので、柔軟性の高いバイオリン指を作るためには相当な努力が必要です。
まとめ
今回は、バイオリンに慣れてきた中級者の方が、これから上級者になるために役立つ練習曲を5曲紹介しました。
中級者向けの楽曲は、初級者向けの楽曲よりもさらに表現や使用する音の幅が広がります。
どのどれもが、今後上級者で必要となる奏法なので、少しずつ練習を始めていくと良いでしょう。
レベルが上がると、これまでできていたことができなくなってしまうこともあります。
そんな時は一度立ち止まって、初心者の頃に練習していた楽曲を演奏してみてください。きっと自分の表現力や奏法のスキルアップに気づくことができるでしょう。
レベルアップの段階では、誰もが同じ難関ポイントに直面するものです。あまり神経質にならず、演奏をひたすら楽しんでください。